電気を使わない温度履歴
医薬品や食料品など一度でも規定の温度を超えてしまうと品質が保てないものがあります。
そのような現象を不可逆変化と言います。変化が起こっても元の状態に戻ることができることを可逆変化と言います。温度が上昇して溶融したり分離することで、味や有効性が低下するもの、温度が低下することで水分が膨張し、期待した品質が保てないものなどがあります。そのような場合、使用するその瞬間まで温度が維持されている必要があります。そのため、途中で温度が規定値を超えたかどうかを認識できる方法が必要です。
それが温度の変化によって色の変わるシールによる温度履歴管理です。製造中、輸送中、保管中で一回でも温度が規定値を超えた場合、シールの色が変化します。そのため、使用者にシールの色により使用して良いかどうかを判断してもらうことができます。この方法では電気や電池は使用しません。温度履歴をシールの色で行います。数値による温度履歴ではなく、温度を超えたかどうかだけを記録するものです。
商品がどこにあっても利用可能であること、場所を取らないこと、電池切れなどの心配がないことなどのメリットがあります。デメリットはすべてのものに貼付する必要があることや、限度値付近を維持している場合にその温度履歴を知る方法がないことです。限度値よりも少し低い温度で設定することで解決できますが、その分本当は使えても良いものが使えなくなります。出荷前までは、他の温度管理と併用することも必要です。